三つの意志 2

レース後4日になるのに、まだ足が痛い。

特に左ふくらはぎの張りが収まらない。肉離れか?

 

ツールド沖縄市民210キロはスタートから40キロの仲尾関門を過ぎると集団はかなり安定する。

毎年ここまでは落車回避に神経を尖らせ位置取り争いの為に脚を使うのを覚悟している。

しかし、今年は去年に感じなかった疲労感があった。辛いが我慢して位置取り争を続ける。集団が安定したといっても、ツキ位置にいるといつの間にか後方へ追いやられる。常に抜かれたら抜き返すだ。沖縄ではハイスピードで大集団が突き進むので自分の居場所を作るのが大変だ。

気になるのは前方に見える盆栽チームの2人。前にいれるのは心身ともに調子がいい証。沖縄では2年連続貸しを作ってしまったので遅れは取れない。順位を意識してしまう笑。

 

強豪選手達がトイレ休憩開始。集団が40キロ前後のスピードで走り続けるのに一度止まって再び復帰するのには相変わらず感心する。もちろんこの間にスピードを上げようとする選手や落とそうとする強豪選手のチームメイトとのやりとりみたいなのがあった。集団で縮こまってるだけの自分としては観戦者気分で間近で起きているロードレースを傍観するだけ笑。

 

今年は海岸線の緩やかな連続カーブを対向車線を利用して直線的に走るシーンが何度かあったけど、集団後方にいると前の動きが読めなくて怖かった。自分としては道なりに走ってもらいたいな。既に補給食のスポーツ羊羹4個完食。ドリンクは1本のみとすすまない。

 

いよいよレースが動く普久川ダムの登りが近づく。入口手前のトンネルが見えてハンドルを握る手に力が入る。

今年はトンネルの長さを短く感じた。一つ手前のトンネルだった笑。

トンネルを抜けて交差点を右に曲がると普久川ダムの登りだ。

いつもここでは現地人&観戦ツアー客の応援が凄くて気分を盛り上げてくれる。

 

今年はパインの増謙さんに付いて行ければ上位でゴールできる筈と徹底マークで登りに突入する。自分がどれだけ登れるかは未知数だが(低レベル過ぎて)沖縄前の2レースでの脚の感触は良かったので諦めなければ可能性があると思った。もてぎ4耐で新城選手の走りを間近で見れたのも自分の走りにプラスになってる筈。

 

自分の場合、登りでは少しでも前から遅れるとそのまま一気に離されてしまうので、沖縄では中切れに巻き込まれないように先頭のペースを常に把握して走らなければならない。

気合を入れて踏み続けていたら前方の増謙さんが遅れた!?ペース配分か分からないが一気に被せて前を追う。

想定外の状況に焦ったが前方に盆栽のY君を発見。負けられないと脚に気合を注入。

 

残りのレース距離を考えるとこのまま踏み続けていいのかと迷いもあったが、前を見るとここは戦場なんだ、ここで生温い事を考てはいけないと気付く。なにより年に一度の沖縄なのに最初の普久川で諦めてはいけないのだ笑。

でも集団のペースは落ちず前方では中切れが多発。既に被せる力は無いがペースを落とさず前を追う。

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1回目の 普久川ダムの登り。先頭から遅れてしまったが必死で登り続ける。

 

 徐々に集団が崩壊していくが、前にはWCUのメンバー、毎度お世話になってるひるサイメンバーがいる、そのグループに付いて行ければレース後半戦も戦えると思い必死にペダルを踏み続ける。気がおかしくなりそうだった。Y君が遅れる。今年は獲ったか?笑。

 

普久川ダムの登りは7.2キロ。過去走った経験から山頂までは残りわずかな気がしたが違ってたら嫌なので残り半分でも走れるつもりでペダルを踏み続けた。ここで一瞬の油断から前から離されてしまい差を詰めれなくなったが、後方から現れた勢いのある選手に食らいついて追いつくことができた。それからは脚の痛みと意識を分離させて、ただただ脚を回し続けた。少し遅れたがなんとか山頂通過。

 

自分より登れる選手達と一緒に山頂を通過できて凄く嬉しかった。しかも、この後も良いペースで北部を一周して再び普久川に戻ってこれる保証付きの集団に残れたと思うとテンションが上がり過ぎて下りでコースアウトしそうだった。

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 山頂通過の遅れを下りで取り返す。下りのスピードは時速75キロを超える。

 

普久川ダム補給地点通過。@からボトルを受け取る。事前にその時に尻を押してくれとお願いしていたのに忘れていたのが凄く気になった笑。おにぎりを用意して貰っていたが、やはり食べる気力が無かったので遠慮した笑。

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補給を受け取って追走集団を追いかける。

 

今年は補給地点に沖縄の友人も応援に来てくれたので気力も補給出来た。チームメイトの応援、他チームスタッフの応援はとても嬉しかった。沖縄はつくづく自分の為だけでは走れない重すぎるレースだと感じた。

その直後、後ろから「スペシャルドリンク受け取りましたね!」と盆栽のY君の声。既に勝負がついたと思っていたのでショックだった笑。

 

15人くらいの集団で沖縄最北端を目指す。このエリアは下り基調のアップダウンをこなし沖縄100キロのスタート地点から始まる奥の登り3.6キロが山場。ここ数年はここで遅れる事は無いが、リタイアした2011年のレースでは遅れてしまったので気は抜けない。

 

普久川ダムからの下りを集団後方で走るが登りでは度々前を開けてしまう。やはり脚の調子が悪い。力を入れてるつもりなのにスピードが出ない感じだった。しかも今年は奥の登りまで、こんなに多くの登りがあったのかというくらい長く感じた。

下りの勢いを殺さず奥港に突入、ここでスピードが足りないと奥の登り前に前を追うのに脚を少し使ってしまう。それぐらいいつもギリギリ状態。

 

奥の登りに突入。何も考えず、ただ前を開けないように気を付けるのみ。脚を意識すると辛くなるので気を失ったふりをする。ここを終えれば普久川まで暫く休めるんだとそれだけを考えた。しまいにはそれでも辛いので、こんな辛い沖縄はもう二度と出場しない、だからもう二度と奥の登りを登ることは無いから頑張ろうと考えた。

そんな事ばかり考えていたらいつの間にか山頂を通過。やっぱ沖縄は向いてないな笑。

 

ここから2回目の普久川ダムの登り口までは約15キロ。その間に体力を回復させないと登れなくなる。去年はこの区間での巡行速度が速くてツキイチなのに疲れた。なので今年はその対策として55mmのエアロホイールを用意した。でも特に効果は感じれなかった笑。沖縄は30mm前後が適当。もしくはタイヤとチューブを拘ったほうがよいみたいだ。

普久川ダムの登り口までは、いつもひるサイでお世話になっているI君とH君が集団を良いペースで引っ張ってくれた。感謝感謝である。

自分はツキイチだがスピードが45キロ前後になると脚が削れる気がした。既に130キロ走り続けているので首と腰に疲労が溜まって不安になる。

 

本日2回目の普久川ダムの登りに突入。再び地獄が始まるかと思うと一瞬怯むが、ここを乗り切れば残す地獄は安波の登りだけで完走が見えてくる。しかもこの集団で登りきれば過去最高順位も期待出来そうだと思うといつも以上に気合が入った。

でも気合だけで登れる自分ではないので苦しみ悶えるのを覚悟しなければならない。

すぐ頭に思い浮かんだ。

「最後の沖縄、普久川ダムを登るのも最後。だからどんな苦しみにも耐えよう」と。

目を三角にして普久川ダムに挑んだ。

これが二つ目の意志となり苦手の山岳を撃破することになる笑。

 

つづく